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9.良いギターに出会う
選び方のページでもお話しましたが、高級なギターは音に深みがあったり、弾きやすかったり、いろいろすぐれた点があります。 ここでは高い技術できちんと製作されていることを前提に、音質や音量の面からギターを選ぶことを考えてみることにしましょう。 ひとくちに良いギターといっても、どういう価値観で判断するかによって評価が変わることがあります。 たとえば、有名なギタリストが使っているギターが良いギターかというと必ずしもアマチュア愛好家に好適なギターとは限りません。 というのは、ステージで使用することを考えた場合、音質だけでなく音量と遠達性が必要となるからです。 また、そのギタリストにとって表情の変化が得やすいかどうかは、爪の強度にも関係があります。 よく知られた例では、ジュリアン・ブリームのように爪の弱いギタリストは、弱いタッチで鋭敏に反応するギターを高く評価します。 逆にそういう繊細な楽器を、ジョン・ウィリアムスのような強靱なタッチで弾くと、良さが生かせないこともあります。 またプロのギタリストの場合、仕事に使うのですから、長期間弾き込まなくても初めからよく鳴ってくれるギターの方が都合が良く、寿命はそれほど期待されません。 同じ楽器を何十年も使い続けることはあまりなく、数年で変える場合が多いようです。(激しく使うとフレットが減りますから、長期間使うには何度も調整や修理が必要となってしまうのです。) 一方、アマチュアの場合、弾き込むことによって音に味わいが深まるのをじっくり待つことも楽みのひとつであるはずです。 また、プロは当然遠達性のよい(遠くまでよく届く)ギターを評価しますが、ホールで弾くことがあまりないアマチュア愛好家が、遠達性にすぐれていても耳元でそれほど良いと思えないギターを選ぶ必要はないと思われます。 音量があるギターは力まなくて済むので、弾くのが楽に感じられる傾向があり、初心者が弾き比べると評価が高くなりがちです。 もちろん音量は大変重要な要素なのですが、音量と音質は反比例に近い関係があります。 音量豊かな楽器は鳴らす快感が得られる反面、大味で表情に乏しい、和音が混濁しやすいといった傾向があります。 逆に弾いていてずっと鳴らし続けたくなるような響きの美しいギターは、音量がない傾向となります。 この相反する性質をうまくバランスをとって製作されたギターは、「かなり音量があるのに繊細さも兼ね備えている」「響きが明晰なのに音量もある」という評価を得ることになります。 音質については評価が更に難しくなります。ふっくらとした丸い音は、なんとも懐かしい思いにさせられ、ろうそくの光のように人をなごませてくれます。 しかし、このような音質は多声部を明確に鳴らすことには向きません。 逆に鋭く細い音は遠達性にすぐれ、多声部の処理が美しくなります。 そして、実際のギターの音はこの両極端の間に多数存在しているのです。 ところで、ヨーロッパの教会のオルガンの音には各国で大きな違いがあります。 北ドイツに鋭く硬い響きでゴシック建築を思わせるものがあると思えば、イタリアののびやかな音、フランスの爽やかな音、スペインの暖かくにぎやかな音、これらの良いものはそれぞれに魅力的であって、同じバッハを鳴らしても曲の別の表情が見えてくることがあります。 オーケストラも国や団体ごとに響きが違い、良いものはそれぞれが個性となってることはご承知のとおりです。 ギターもひとつの基準だけで評価することは難しく、それぞれの良さを意識しながら自分にはどれが合うかを考えることを通じて、よいギターに出会い、その方の「耳」が作られていくのではないかと思います。
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