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4.フラメンコギターとクラシックギターの違いはどこにありますか

 フラメンコギターとクラシックギターがはっきり別のカテゴリーとして、製作家が区別するようになったのはそれほど古い事ではありません。
19世紀後半から今世紀の初頭、トーレスからサントス・エルナンデスが活躍した時代には未だフラメンコはカンテ(歌)が中心でしたから、その伴奏やバイレ(踊り)や他のスペインのフォルクローレ(民謡)の伴奏楽器として使われるのが普通でした。

一方クラシックもトーレスを愛奏したターレガによって、ようやくロマン派時代に返り見られなくなったギターが復権を果たした位ですから、クラシックのコンサートギターに対する需要も一部の特権階級に限られたものしかありませんでした。ですから現在ではシープレス(糸杉)を横裏板に用いた木肌が白っぽい感じの楽器がフラメンコというイメージがありますが、当時はむしろ入手しやすく且つギターの特性に合ったものとしてシープレスが一般的に良く使われていたというのが実情と思われます。(もっとも現在ではスペイン産のシープレスは伐採禁止となり良材は大変貴重なものとなっています。)

ところが結果として質量の軽いシープレスは、立ち上がりや歯切れの良いリズムの分離の良さなど、フラメンコ的な音色を追求する場合に大変適した材料である為、段々とフラメンコ用に特定して使われる様になって来たのです。
その後、フラメンコもギターの独奏というジャンルが確立し、更には他の楽器との合わせるコンサート形式が確立するにつれ、切れの良さだけでは無く音の奥行きを求めてシープレスだけではなくクラシックに使われるローズウッドを用いた物も使用される様になって来ました。

一般に前者をブランカ(白)、後者をネグラ(黒)或いは両用と呼んでいます。
現在では表面板の厚さや力木の配置、ボディーの厚さなどをクラシックと別の仕様で製作する場合が多く見られます。又、表板にはラスゲアード(弦を掻き鳴らす)奏法やゴルペ(指で叩いてリズムを刻む)奏法で傷が付かない様、セルロイド等で出来たゴルペ板が張ってあるのが一つの特徴と言えます。(嘗ては楓材のゴルペ板が用いられていました。)
また、金属糸巻きでは無く木ペグを使用したものも見られます。

 故マヌエル・カーノ氏は良く一本のギターで前半クラシック、後半フラメンコのプログラムを組んでいました。
彼の名言に次のような台詞があります。  <クラシック音楽とフラメンコ音楽があるのではなく、良い音楽と悪い音楽がある。クラシックギターとフラメンコギターがあるのではなく、良いギターと悪いギターがある。>

                                 (製作家 尾野 薫)


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