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髙木真介のスペイン便り
10.第39回クエンカ宗教音楽週間 (2000.4.16)

 皆様こんにちは。4月になってから,スペインではぐずついた日が続いていますが,晴れた日は春らしい陽気です。日本では,もう桜の花は終わってしまったころですね。年度変りのあわただしさも過ぎ,ようやく落ち着いたころでしょうか。

 さて,今回はSemana Santa(聖週間,イースター)に関係した話題をおおくりします。御存知のように,カトリックの国では,聖週間の行事はとても重要なものです。キリストの受難,十字架の刑,そして復活という聖書の中でも最も重要な出来事にちなんでいるわけですから。今年は,4月16日から23日までが,聖週間にあたっています。各地でキリストやマリア様の像などを冠した山車の行列が行われます。大きくて非常に重い山車を何十人もの人が肩に背負って行進していきます。この行進のために,一年を通して練習するそうです。良く見ると,みんなの呼吸が良く合い,足並みはぴたっとそろっています。特に曲がり角のあるところなどは,驚くほど調和のとれた動きをします。この荘厳な行列は,スペイン各地で見ることが出来ますが,恐らくセビーリャのものが一番有名でしょう。今回のスペインだよりの主役のクエンカの町も,聖週間の行事では良く知られています。

 クエンカは,マドリードから約165キロメートルほど東に行ったところにあります。クエンカで有名なのは,なんと言っても,がけっぷちに建つCasas Colgadas(不安定な家)でしょう。現在その家の内部は,抽象画美術館になっています。旧市街の古い街並みを歩いて,この不安定な家にたどり着くわけですが,古い外観とは裏腹に,前衛的な絵画が展示されているこの美術館は,とても興味深いです。何となく不思議な感じがするクエンカの町では,前述したように聖週間の行事がとても盛んに行われます。そして,音楽的な面でも非常に重要な催し物があります。それが今回お伝えする,今年で39回目になる「宗教音楽週間」です。以下にプログラムを記します。

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4月16日 20時 クエンカ音楽堂
 (Auditorio de Cuenca)

 “Emmanuel “ – EDUARDO RODRIGO 作(イエス・キリストの生涯をつづった新作ミュージカル) … 世界初演 …

4月17日 20時 サン・パブロ教会
 (Iglesia de San Pablo)

 “カンタータBWV106 “ – J. S. BACH

 “Passio Domini nostri Jesus Christi secundum Joannem “ – A. PART

4月18日 20時 クエンカ音楽堂
 (Auditorio de Cuenca)

 バッハのカンタータ4曲
 ~ BWV4, BWV227, BWV32, BWV182

4月19日 20時 サン・ミゲール教会
(Iglesia de San Miguel)

 “Lamentatio Jeremiae “ – E. LAPICIDA

 “Passio “ – C. D’ ARGENTILLE

 “Christus mortus est “ – J. DESPREZ

4月20日 20時 クエンカ音楽堂
 (Auditorio de Cuenca)

 “En busca de mas alla “ – J. RODRIGO

 “Getsemani “ – G. FERNANDEZ ALBEZ  … 委嘱作品,世界初演 …

 “オリボ山のキリスト“ – L. BEETHOVEN

4月21日 20時 サン・パプロ教会
 (Iglesia de San Pablo)

 “Sifonia funebre “ – NUNES GARCIA

 “Sinfonia liturgica concertante “ – PLEYEL

 “Miserere “ – E. M. LEYSECA

 …全作品ともボリビアのSucreの大聖堂で発見された。18世紀以来の演奏になる。…

4月22日 12時 アルカス教会
 (Iglesia de Arcas)

 バッハの合唱および独唱曲を集めて

4月22日 20時 サン・パブロ教会
 (Iglesia de San Pablo)

 MORERA, FUENTES, PRADAS, NEBRA, CORSELLI による賛美歌

 4月23日(日) 12時よりクエンカ大聖堂でミサが上げられ,この宗教音楽週間が終わります。ご覧のようにバッハの作品が多いのは,今年がバッハの没後250周年だからです。宗教音楽というと,古臭いイメージが強いですが,なかなかどうして,とてもバラエティーに富んだプログラミングをしています。初日の新作ミュージカルや,20日のFERNANDEZ ALBEZ(現代スペイン楽壇で良く知られている作曲家)の委嘱作品を含むなど,とても斬新だと思います。また,21日の,ボリビアの大聖堂で発見された作品の演奏というのも興味深いです。なんと言っても18世紀以来ずっと眠っていたものですから。こういう取り組み方も画期的だと思います。歴史の長いこのクエンカの宗教音楽週間は,敬虔なカトリック信者たちだけのものではなく,一般の音楽愛好家も十分楽しめるような配慮がされていると思います。聖週間には,クエンカまで足を伸ばし(マドリードからならバスで2時間足らず),クエンカの街並みや抽象画美術館(不安定な家)を楽しんだり,聖週間の行列を見たりしながら,宗教音楽を堪能するのも良い旅行プランではないでしょうか。

 というわけで,今回はクエンカの話題をお伝えしました。まったく私事で恐縮ですが,私はこの時期日本にいて,フルーティストの
VICENTE MARTINEZ氏とのデュオで,いくつかコンサートをします。スケジュールは以下の通りです。

4月20日 (木) 19時 横浜・関内ホール(小)

4月21日 (金) 19時 東京・FMトーキョー・ホール

4月22日 (土) 14時 熱海・MOA美術館 能楽堂

 チケットやお問い合わせなどは,ギター・ショップ・アウラにどうぞ。興味深いプログラムを組んでありますので,ぜひ,聞きにいらしてください。

 それでは,お元気で。

              高木真介,2000年4月13日,マドリード

Masayuki Takagi


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