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髙木真介のスペイン便り
15.ロドリーゴを賛える演奏会ほか (2000.12.20)

皆様こんにちは,すっかりご無沙汰してしまいました。気がついたら,今年,いや今世紀もあと残りわずかになりました。マドリードの町はクリスマスの飾りでとても華やかです。繁華街では,クリスマスのための買い物をする人でごった返しています。久しぶりのスペインだよりは,ホアキン・ロドリーゴの話題からはじめましょう。

 

CICLO DE CONCIERTOS EN HOMENAJE A JOAQUIN RODRIGO

(ロドリーゴを賛える演奏会)

タイトルの通り,作曲家のJ.ロドリーゴを賛えて,マドリードで,4つのコンサートが開かれました。会場は,4つのコンサートとも市内にある,Centro Cultural Conde Duque(コンデ・デューケ文化センター)で行われました。日程と出演者は以下の通りです。

 

11月27日 ELENA GRAGERA(メゾ・ソプラノ)

ANTON CARDO(ピアノ)

 

12月4日 FRANCESC GARRIGOSA(テノール)

ANTON CARDO(ピアノ)

 

12月11日 GERARDO ARRIAGA(ギター)

 

12月18日 PATRIN GARCIA(ピアノ)

ANGEL LUIS QUINTANA(チェロ)

 

ロドリーゴは,1901年11月22日生まれですが,11月22日は,スペインでは,音楽の守護神・聖セシリアの日です。ところで,来年はロドリーゴ生誕100年にあたるので,数多くの記念コンサートが開かれると思いますが,今回の4つのコンサートもその前触れのような形で開かれたようです。来年はきっと,いつもに増して『アランフェス協奏曲』が,世界中で演奏されることでしょう。

 

 

カマロンの新CD

 さて,次はフラメンコの話題をひとつ。天才カンタオールのカマロンに関して。

CAMAROM DE LA ISLA
~カマロン・デ・ラ・イスラ(本名は,JOSE MONGE CRUZ)は,スペイン国内はもとより,世界中で良く知られたフラメンコのカンタオールでしたが,1992年41歳の若さで他界しました。今年2000年12月5日は,彼の生誕50年にあたります。それを記念して,今まで未発表だった録音を集めたCDが発売されました。CDのタイトルは,”ANTOLOGIA INEDITA”(「未発表のアンソロジー」)で,UNIVERSAL MUSIC SPAINのレーベルから11月27日に発売されました。CDには1967年(若干16歳の時)から1990年までの日の目を見なかった12曲の録音が収められています。スペインのTVでは,よくこのCDの宣伝を流しているので,きっと大ヒットになるでしょう。また,12月4日には,出身地のカディスで,“CAMARON CLASICO”というタイトルでカマロンをたたえるコンサートが開かれました。ギターのJ.M.CANIZARESやカンテのMONTSE CORTES等フラメンコのトップ・アーティストをはじめ,オーケストラや,ジャズのビッグ・バンドなども参加し,華やかなコンサートだった様子です。

Image19
【在りし日のカマロン】

 

CONCIERTO HOMENAJE A NURIA MORA IN MEMORIAM

(ヌリア・モーラ追悼コンサート)

 

今年(2000年)3月に,悲運な交通事故で他界したヌリア・モーラは,将来を有望されていた才能あふれる若い女流ギターリストでした。12月17日にスペインギター教会の主宰で,マドリードのアテネオ会館にて彼女の追悼コンサートが開かれました。

出演者と演奏曲目は次の通り。

RENE MORA
+ ALBERTO LOBATO + HUGO ENRIQUE

・三つのジムノペディ(E.サティー)

 

柳真一郎

・エンデチャとオレムス(F.ターレガ)

・フリア・フロリダ(A.バリオス)

 

MANUEL BABILONI

・ターレガ賛歌(D.フォルテア)

・ディプソ(V.アセンシオ)

 

JOSE LUIS RODRIGO

・メヌエット(F.ソル)

・ソナティネ・第一楽章(F.M.トローバ)

 

最初に演奏したトリオは,ヌリアが生前在籍していたギター・クアルテットの残りのメンバー。日本人留学生の柳は,現在マドリード王立音楽院高等科で,ガブリエル・エスタレージャスに師事していますが,ヌリアが亡くなるまで彼女のもとで学んでいました。マヌエル・バビロニは日本でもよく知られたギターリストですが,ヌリアの友人代表という形で出演。トリをつとめたのは,マドリード王立音楽院高等科の主任教授J.L.ロドリーゴで,ヌリアの師匠。演奏に先だって,各演奏者の故人についてのコメントと,ヌリアの母親に記念の楯を贈呈するセレモニーがありましたが,母親が感極まって泣き出してしまい,とても沈痛なムードでした。演奏会のほうは,各出演者とも心のこもった素晴らしいものでした。特に,J.L.ロドリーゴは,最近心臓のバイパスの手術を受けたばかりで,まだ療養中の身でありながら,とてもしっかりした音で,心温まる演奏を聴かせてくれました。(余談ですが,ロドリーゴ氏の音楽院の授業の代教を私が勤めています。生徒のレベルは皆高いもので,さすがロドリーゴと感心しています。幸い,1月から復帰すると,演奏後元気そうに語っていました。)また,マヌエル・バビロニの演奏は,地味な選曲でありながら,人間の「慈しみ」というものを感じさせてくれ,とても感動的でした。

以上が,今回のスペインだよりです。いよいよ21世紀の幕開けですが,2001年が皆様にとって健康に恵まれ,多 幸な年となるよう心からお祈り申し上げます。

 

高木真介,2000年12月18日,マドリード           
Masayuki Takagi

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