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髙木真介のスペイン便り
19.第50回サンタンデール国際音楽フェスティバル、他 (2001.8.4)

久々のスペインだよりです。猛暑の中、皆様いかがお過ごしですか。こちらスペインでも暑い日が続いていますが、すっかりバカンス・モードに入っていて、マドリード市内は車の数も人の数もだいぶ減っています。

さて今回の主役のサンタンデールは、スペイン北部のカンタブリア海に面する美しい町で、バカンス客や観光客が大勢集まります。8月いっぱい行なわれる国際音楽フェスティバルは、今年で50回目を迎えます。毎年バラエティーに富んだプログラミングおよび数多くの一流アーティストが参加するので、スペイン国内でも有数のフェスティバルです。一ヶ月に渡り毎日二つずつくらいの演奏会がありますから、かなりの数の演奏会になります。また、会場は、サンタンデール市内にある音楽専用ホールPalacio de Festivales(フェスティバル・ホール)を中心に、カテドラルや、近郊の町々の教会等が使われます。すべては紹介できませんので、いくつか勝手に選んでご紹介いたします。

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(Palacio de Festivales)

・ 8月1日、4日(Palacio de Festivales):ハンガリー国立交響楽団・合唱団,他

ベルディの「アイーダ」

・ 8月10日,11日(Palacio de Festivales):Helikon Opera Theatre,他

ショスタコビッチの「マクベス婦人」(10日)  

チャイコフスキの「オイゲン・オネギン」(11日)

・ 8月12日,13日(Palacio de Festivales):アントニオ・マルケス舞踊団

フラメンコ/スパニッシュ舞踊

・ 8月14日ダニエル・バレンボイム ピアノ・リサイタル

・8月19日(カテドラル回廊):エンリコ・バイアノ チェンバロ・リサイタル

バッハの「平均律クラビアー」

・ 8月24日(Palacio de Festivales):スペイン国立交響楽団・合唱団,他

ベルディの「レクイエム」

・ 8月27日(カテドラル回廊):ジョルディ・サバル ビオラ ダ ガンバ・リサイタル

・8月31日,9月1日(Palacio de Festivales):ローマ国立聖セチリア・アカデミー

ベートーベンの第9,他(8月31日)

ベルディの序曲やオペラの合唱曲集,他(9月1日)

今年はヴェルディ没後100年にあたりますので、その代表的なオペラ「アイーダ」でフェスティバルの幕開けになっています。偉大なピアニスト・バレンボエムのリサイタルも大きな目玉です。スペインの名指揮者R.フリューベック・デ・ブルゴスと国立響によるベルディの「レクイエム」も聞いてみたいものです。またスペインの古楽の第一人者ジョルディ・サバルのビオラ ダ ガンバのリサイタルも注目度が高いでしょう。このフェスティバルのWebサイトは下記のとおりです。

www.festivalsantander.com

サンタンデール市内にも美しい海岸がありますが、近郊の町にも素朴できれいな海岸がたくさんあります。また内陸に入ると山岳地帯があり、山歩きを楽しめる場所や、温泉療養地などもあります。

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(アルタミラ洞窟壁画)

サンタンデール市の近くにSantillana del Marという中世の趣がそのまま残った、歴史の重みを感じさせる美しい町があります。この町のすぐ近くに、例の洞窟壁画で有名な,Altamiraがあります。音楽フェスティバルとはまったく関係ありませんが,そのことにちょっと詳しく触れたいと思います。1万5千年以上も前に洞窟に住んでいた原始人が描いた牛などの絵は,おそらく現存する人類最初の美術作品といえるでしょう。実はこの洞窟、一般にも公開されているのですが,保全のため厳しい入場者数の制限があります。たくさんの人が一度にはいると,洞窟内の温度や湿度が変化して,絵(絵の具)に悪影響を与えるのだそうです。そんなわけで,1日にごくわずかの人しか見ることができないのです。当然ウェイティング・リストに載っている人の数は膨大なものです。ですからフラッと行っても絶対に洞窟の中に入れてもらえません。しかし,今年の夏から,誰でも気軽にこの洞窟壁画を鑑賞することができるようになりました。どういうことかというと,洞窟のすぐ近くに博物館を建設し,その中に本物そっくりそのままのレプリカ(複製)を作ったのです。すべての絵の色や大きさ、位置関係どころか,それらの描かれている壁のでこぼこ具合まですべて本物と同じなのです。この博物館の落成にあたり,スペイン国営放送の特別番組をテレビで見ましたが,本当に驚くほどよくできています。製作の過程も放映されましたが,ハイテクを駆使した緻密な計算と,手作業で仕上げていく職人さんたちの真剣なまなざしが印象的でした。また博物館の建物は非常に現代的で、洞窟とのコントラストがあって面白いです。

暑い折どうか健康に気をつけて,楽しい,そして充実した夏休みをお過ごしください。それでは,またお目にかかりましょう。

髙木真介、2001年8月1日,マドリード

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