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髙木真介のスペイン便り
20.アルベニスのオペラ,セビーリャ・フラメンコ・フェアー,他 (2001.10.30)

またまたのご無沙汰です。皆様いかがお過ごしでしょうか。9月11日の米国へのテロ行為以来物騒な話題ばかりですが,芸術の秋,こういうときこそよい芸術に触れ,精神を清らかにして平和な世の中を作っていく努力をするべきだと思います。

マドリード秋の芸術祭~ FESTIVAL DE OTÑO

さて今回のスペインだよりの一つ目の話題は,毎年秋に開催される「マドリード自治州・秋の芸術祭」(Festival de Otoño)についてです。今年で18回目を迎えるこのフェスティバルは,マドリード市内および自治州内の近郊の市町で,10月22日から11月23日までの一ヶ月間,演劇を中心に,音楽会,バレエ等の舞台芸術のイベントが繰り広げられます。そのなかから音楽に関して特に興味深いものをいくつかご紹介します。

“MRLIN”(I.アルベニス作曲オペラ「メルリン」) 10月27日・王立劇場( Teatro Real ) : 卓越したピアニストだったイサーク・アルベニスは,ご周知のとおりスペイン色濃い数多くの美しいピアノ作品を残しました。彼のピアノのための作品「アストゥリアス」などは、ギターでもよく弾かれますからアルベニスの名前はわれわれギター愛好家にとっては非常になじみ深いですね。そのアルベニスが作曲したオペラ「メルリン」はあまり知られていません。そのオペラ,今回はコンサート形式で演奏されます。José De Eusebio指揮,Orquesta Sinfónica de Madridの演奏で,プラシード・ドミンゴなどのソリストが参加します。

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イサーク・アルベニス(1860~1909)

Semana de Jazz Latino(ラテン・ジャズ週間) 10月31日~11月4日・アルベニス劇場( Teatro Albéniz ) : 5日間にわたりラテン・ジャズ系のアーティストたちによるコンサートが毎晩開かれます。

Buenos Aires Tango 11月7~9日・アルベニス劇場 : アルゼンチン・タンゴのコンサートが3日連続で。9日には,日本でもよく知られたタンゴの名ギターリスト,フアンホ・ドミンゲスが自身のトリオを引きつれて登場します。

第一回フラメンコ・フェアー ~ I FERIA DEL FLAMENCO

次の話題は,10月4日から7日までセビーリャで行なわれたフラメンコ・フェアーについてです。スペインの中で,フラメンコが盛んなのはやはり南のアンダルシア地方です。そのアンダルシアの中心地セビーリャで,第一回目のフラメンコに関するフェアー(見本市)”I Feria del Flamenco” が開催されました。フラメンコに関係のある業者,ギター・メーカーをはじめ,楽器製作(カスタネットや打楽器など),楽器販売,フラメンコ用品(靴,衣装,装飾品など)を中心に,全部で約80ほどのブースが出展された非常に規模の大きい見本市になりました。また,フェアー開催期間中にはフラメンコに関するあらゆるイベント(コンサート、バイレ,講演会,衣装のファッションショー,etc.)も同時に行なわれました。

レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ没後20年

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今年の11月26日で,ギターのグラン・マエストロ,デ・ラ・マーサが亡くなってから20年経ちます。特別のイベントがあるわけではありませんが,この機会に偉大なマエストロを偲んで簡単にその軌跡を追ってみましょう。

・ 1896年9月7日,ブルゴスに生まれる。

・ 1913年,ダニエル・フォルテアからギターのレッスンを受ける。

・ 1920年,マドリードでのコンサート・デビュー。その翌年から中南米を中心に世界中で演奏活動を展開し始める。

・ 1935年,マドリード音楽院の初代ギター科教授に任命される。

・ 1940年11月9日,バルセロナにおいてJ.ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」初演。

・ 1958年,1752年創立以来ギターリストとして初の芸術アカデミー会の会員に任命される。

・ 1979年7月9日,生地ブルゴスで最後のリサイタル。

・ 1981年11月26日,マドリードに85年の生涯を閉じる。

デ・ラ・マーサは,演奏家としてのみ優れていただけではなく,教授としても非常に傑出した才能を持っていました。氏のもとから数多くの優れたギターリストが輩出されました。また残した作品数こそ少ないですが,作曲家としても優れていましたし,ギターの歴史や文献の研究(アグアド教本の編さんはあまりに有名),さらにはギター製作に関する豊富な知識による製作家への有益なアドバイス等々,氏のギター音楽に対する多大な貢献は,快挙と言えるでしょう。

東隆幸帰国リサイタル

最後は,このスペインだよりでは珍しく日本人ギターリストの話題です。東隆幸氏は,スペインでの6年間におよぶ留学生活に終わりを告げて,この9月に帰国しました。そして今秋,帰国リサイタルを東京と横浜で開きます。東氏は,卓越したテクニックと素直な音楽表現を持った将来有望なとても優れた若手ギターリストです。この帰国リサイタルを機に,日本で活発な演奏活動を行なっていくことになるでしょう。すでにスペイン在住中に行なったコンサートでは,どこでも成功を収めていましたし,国際コンクール入賞経験もあります。特に今年の5月,マドリード王立音楽院のホールでのリサイタルは非常にすばらしい内容でした。当時音楽院研究課程に在籍し,主任教授ホルヘ・アリサ氏に師事していましたが,愛弟子の演奏完成度の高さに,普段は批評の厳しいアリサ氏も非常にご満悦の様子でした。聞いていた聴衆も彼の演奏に引き込まれ,私自身もとても幸せなひとときを楽しむことができました。そこで,この拙いスペインだよりを読んでくださる日本のギター愛好家の皆様に,ぜひ東氏の演奏を聞いていただきたいと思い,今回ここに取り上げた次第です。スケジュールは以下のとおりです。

・ 11月10日(土)19時:東京・六本木サントリー小ホール

・ 11月17日(土)19時45分:横浜・港南区民文化センター「ひまわりの郷」ホール

お問い合わせはいずれも東氏まで,TEL:045-773-7435

また,彼のホームページに経歴など詳しいことが出ています。

www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/1972

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(マノーロ・バビロニのレッスンを受ける東氏)

これで今回のスペインだよりは終わりです。秋の澄んだ空気に触れ,健康で充実した毎日をお送りください。またお目にかかりましょう。

髙木真介,2001年10月26日,マドリード


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