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髙木真介のスペイン便り
23.第3回フリアン・アルカス国際ギター・コンクール (2002.5.26)

いかがお過ごしですか。日本では共催の韓国とともに,サッカーのワールドカップの話題で盛り上がっているようですね。どこが優勝するか,友達や仲間と賭けをしてみるのもひとつの楽しみ方ではないでしょうか。私は,アルゼンチンとフランスあたりが有力候補と思います。もちろんブラジルも忘れられませんね。スペインも良いチームなので,結構いい線行くかもしれません(がんばれ,エスパーニャ!)。そう言えば,去る5月15日,クラブ対抗のヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ杯(ヨーロッパ・カップ)で,スペインの名門中の名門レアル・マドリードが,決勝戦でドイツのバイエルン・レバークーセンを破り,見事優勝しました。これで,レアルは9個目のカップを手にしました。この日のマドリード市内の騒ぎはものすごいものでした。レアル・マドリードには最高の選手が集まっています。まず,フランス代表で現在世界最優秀選手といわれているジダンをはじめ,ポルトガル代表のフィーゴ,ブラジル代表のロベルト・カルロス,そしてスペイン代表のエース,ラウルなどです。これらの選手プラス世界中のスター・プレイヤーが極東に集まり,これから熱い戦いが繰り広げられていくわけですね。

さて,今回はサッカーの話で前置きが長くなりましたが,本題に入りましょう。

スペインは南,アンダルシア地方にあるアルメリアで6月1日から8日まで,「第3回フリアン・アルカス国際ギター・コンクール」(CERTAMEN INTERNACIONAL DE GUITARRA CLASICA “JULIAN ARCAS”)が行なわれます。スペイン国内にもいくつかギター・コンクールがありますが,このコンクールは他にない特徴があります。それは,次の3つの部門に分かれていることです。

①) アントニオ・トーレス国際コンクール(13歳未満)

②) ホセ・トーマス国際コンクール(18歳未満)

③) フリアン・アルカス国際コンクール(年齢制限なし)

このように年齢別の部門があるコンクールはスペイン内では珍しいです。応募要綱など詳しいことは,下記アドレスのウェッブ・サイトをご参照ください。

www.instituto.larural.es/cultura/2002/certamen.htm

このコンクールに併せて開催期間中,ほぼ毎晩演奏会も開かれます。出演者は以下のとおりです。

6月1日 午後9時 : エドゥアルド・フェルナンデス(ギター)

6月2日 午後8時30分 : アンソニー・スピーリ(ピアノ)

6月4日 午後9時 : アドリアーノ・デル・サル(ギター)

6月5日 午後9時 : リナルド・アレッサンドリーニ

6月6日 午後9時 : コンチェルト・イタリアーノ

6月8日 午後8時30分 : アレックス・ガロベー(ギター)

6月9日 午後9時 : マルコ・ソシアス(ギター)

コンサートの会場はAUDITORIO MAESTRO PADILLAで,5,6日のコンサートのみ,大聖堂で行なわれます。

さて,このコンクールの名称にもなっている,フリアン・アルカスについて簡単に触れてみましょう。

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J.アルカスは1832年,アルメリア県マリアに生まれる。非常に優れたギター奏者として,スペイン国内およびヨーロッパにおいて成功をおさめる。特に1860~70年の10年間は,とても精力的に演奏活動を行なった。1862年カステジョンで開かれた演奏会を聞いた幼きF.ターレガはアルカスの演奏に強く心を打たれた。ターレガの父は,アルカスに懇願し,息子の演奏を聞いてもらう機会を得た。ターレガはアルカスの前で,物怖じもせずに演奏をした。その演奏に感銘を受けたアルカスは,ターレガを弟子に取ることを約束し,当時住まいとしていたバルセローナに出て来るように勧めた。だが,喜び勇んでバルセローナに出向いたターレガを待っていたのは,大きな失望だった。というのも,アルカスはターレガとの約束をすっぽかしてしまったらしい。アルカスは,ギターのためにかなり多くの作品を残した。作品を見てわかるように,彼はギターの機能を知り尽くしていたし,非常に高度な演奏技巧を持っていたことがうかがえる。彼のオリジナル作品や編曲作品が,ターレガに影響を与えたことは明らかだ。ターレガの作品として知られていた「椿姫の主題による幻想曲」はアルカスの作品だし,ターレガの代表作である「演奏会用大ホタ」は,アルカスの作品「ホタ・アラゴネサ」が原形になっている。アルカスは1882年マラガ県アンテケーラに没する。

さて,このコンクールに話をちょっと戻しますが,13歳未満の部門の名称になっているのは,あの伝説的なギター製作家アントニオ・ト-レスです。トーレスもアルカス同様アルメリア出身。また、トーレスがセビージャに住んでいる時期,アルカスは演奏家として大活躍していた時で,トーレスと大変親しい友人関係にあったアルカスの助言によって,トーレスの製作する楽器の性能がとても向上したようです。有名な「ラ・レオーナ」はこのころ作られ,その楽器を手にしたアルカスは「これこそ私が望んでいた楽器だ」と絶賛し,大変喜んだそうです。

それでは皆様,今回はこの辺で。サッカーで盛り上がるのも結構ですが,ギターのほうもお忘れなく。ごきげんよう。

髙木真介,2002年5月22日,マドリード

   Masayuki Takagi

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