HOMEエッセイギターの評価 > 8.マルセロ・バルベロ・イーホ
8.マルセロ・バルベロ・イーホ

A:「若手と目されていたマルセロ・バルベロ・イーホも今や60歳ですね。」

B:「まだ親分のアルカンヘルが元気だから、どうしても二番手に見えてしまい、損している面があります。実力としては、アルカンヘルやレジェスに次ぐ大物です。」

C:彼のよさは、アルカンヘルからの、もっと言えばバルベロI世から引き継がれたスペインの香りでしょう。それがしっかりした線の太さやバランスとうまく結びついていて、第一級のコンサートギターとなっています。」

D:「スペイン的だけど、強靭ですね。音がしまっていて、ひ弱なところがない。腰の無いやわらかい音や甘い音とは違って、弾き応えがあるギターです。弾いていて、まだまだ余力を秘めている感じがする。でも力強さだけでなく、品がありますよ。」

C:「ロペスの繊細さと比較すると、男性的と言ったらいいでしょうか。それが弾きこまれて少しこなれてくるあたりがとても魅力的です。」

D:「若い頃の作品は音が地味すぎるような感じもありましたが、最近はツヤも乗っていて、いい仕上がりです。」

B:「現代のコンサートギターに求められるピアノ的バランスと、スペイン的な暖かみ、ほのかな甘さ、重厚さ、香りといったものがうまくバランスしていて、名器ですね。」

D:「なにしろI世が伝説の人だし、師匠のアルカンヘルが大物だから、バルベロ・イーホは実力がちょっと隠れがちじゃないですか。」

A:「本当は私、以前からバルベロ・イーホを1本欲しいと思っているんですよ。」

B:「華奢な指の人だと良さを生かしきれないかもしれませんが、日本人の感性に合う音だと思います。しばらく弾いていると弾き手に寄り添ってくるような暖かみが感じられます。」

A:「彼の次の世代はマドリードでは途切れてしまっているのですか?」

C:「残念ながら、彼に続く若手はマドリードにはいないと思います。」

D:「グラナダは活気がありますが、本当のスペイン的な音作りを守ってきたマドリードで後継者がいないというのは寂しいねえ。」

A:「マドリードでよい製作家が育ちにくくなったのは、都会化のせいでしょうか?」

C:「環境的な変化もあるかもしれませんが、アルカンヘルやバルベロ・イーホが受け継いできた伝統工法は、手間も時間もかかりますから、現代の若い人が志す職業としてはスペインでもあまり魅力的でないのかもしれません。」

A:「ところで、アウラオリジナルとパラ・カサモデル(アルカンヘル工房のラベル)の違いはどこにあるのでしょうか。設計も違うのですか?」

B:「アウラオリジナルモデルの設計は、バルベロⅠ世の残したリョベートモデルと書いてある少し小さめの型枠を使用していて、弦長は650mmと僅かにパラ・カサモデルより短くなっています。デザインは、ラベル、ヘッド、モザイク等が、先代を踏襲しつつ、よりモダンなものになっています。」

A:「おそらく、今が円熟の頂点ですね。」

訃 報

マルセロ・バルベロ・イーホは、2005年1月7日(金)未明に肝硬変で亡くなりました。年末に61歳を迎えたばかりでした。自宅にて息をひきとったとのことです。誠実で真面目な人柄であり、ギター製作一筋の人生でした。謹んでご冥福をお祈り致します。


yomimono yomimono