倍音

倍音は音色にとって重要な役割をしていますが、ギターを使って実際の倍音を聴くことができます。
まずギターの表面板を自分の方に向け、6弦12フレットあたりを弾いてみてください。弦の動きは白い面(定常波)となって観察できます。
12フレットあたりの幅の広いところを腹といいます。
次にギターを支えている左手の親指を利用して、12フレットのハーモニクスを出してください。
2倍音のミの音が出ます。12フレットあたりの弦の振幅が無いところを節といいます。
腹は6フレットあたりと19フレットあたりにできます。弦長の1/2を節とし、振動数が2倍の、ふたつの波となっているのが見えるはずです。12フレットのハーモニクスは、強制的に節を作ることによって、開放弦を基音とした2倍の振動数を作り出しているのです。
次に7フレットでハーモニクスを出してください。今度は弦長の1/3を節とする、振動数が3倍のシの音が出ます。7フレットと19フレットあたりが節となっているのが見えるはずです。
以下4倍音、5倍音と、弦長を1/4、1/5とする波となって現れますが、目で確認するのはどんどん難しくなります。
今度は静かな所で普通にギターをかかえて6弦の12フレットのハーモニクスの音を聴いて下さい。
何回か音を出して頭の中でその音をイメージしてから6弦の開放弦のミの音を聴いてください。開放弦のミの音の中に12フレットのハーモニクス(2倍音であるオクターブ上のミ)の音が聞こえてくるはずです。
次に7フレットのハーモニクスで3倍音の音を開放弦の中から聞き分けて見てください。

ハーモニクスの音を上手く聞くためには、ほかの弦を消音しておく事と、ハーモニクスの音をハミングなどで合わせないで、音の高さとしてイメージする事が大切です。6弦の4倍音は5Fのハーモニクスで、2オクターブ上のミの音です。
5倍音は4Fのハーモニクスでソ#ですが、弦長を2対3に分ける9F、16Fのハーモニクスでも同じ音が出ます。
6倍音は3Fから指一つ分高音側にずらしたあたりのハーモニクスでシの音です。
7倍音は3Fから指一つ低音側にずらしたあたりのハーモニクスでレの音ですが、弦長を2対5に分ける6Fの少し低音側や、3対4に分ける10Fの少し低音側、15Fの少し低音側でも同じ音が出ます。
8倍音は2Fから指一つ高音側にずらしたあたりのハーモニクスで3オクターブ上のミの音です。
もう少し高次倍音まで聞こえますが共鳴で問題になるのは8倍音位までです。  

 また、他の弦でも同様ですが高音弦に行くほど、高次倍音になるほどハーモニクスが難しくなります。
これは音そのものに倍音が少なくなるためで、テクニックだけの問題ではありませんが、ハーモニクスを上手く出すためには右手の弾弦の位置に注意します。
例えば8倍音なら、ナットから2Fまでの波が8個つながっていると考えて下さい。
ひとつの波の腹の部分が一番揺れているわけですから、サドル(駒に付いている骨棒)から弾弦位置までの距離は、0から2Fの半分と同じ所が最適です。
節の部分を弾弦しても、本来揺れない部分ですから音にはなりません。
例えば3倍音の7Fのハーモニクスの場合、節は7Fと19Fあたりに出来ますが、19Fの位置で弾弦して7Fのハーモニクスを出してみて下さい。音にならないはずです。
次に同じ位置で開放弦を弾いてみると、さっきは聞こえた3倍音も消えているはずです。消えているのは3倍音だけでなく6、9、12倍音も消えています。
同様に12Fの位置を弾弦すると2、4、6、8倍音が消えてしまいます。
つまり弾弦する位置で音色が変化して行くのは、その位置を節とする倍音が消えることによって、倍音構造が変化していくためです。
1弦の開放、2弦の5F、3弦の9F、4弦の14Fは同じ高さのミの音ですが音色が変化していきます。
それは夫々の弦長にとって弾弦位置の割合が変化していく事が原因ですが、他にも弦の質が異なる等いくつかの要因が考えられます。
音色の変化は倍音構造の差異であり、フレットを押さえる位置によって、また弾弦する位置によって変化していきます。


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