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7.アンダルシア探房記

 スペインを代表する製作家とのふれあいの中で、喜びと感動がかわるがわる押し寄せてくる夢のような毎日をマドリッドで過ごした。興奮さめやらぬままマドリッドを一時離れ、アントニオ・マリンをはじめとするグラナダの製作家たちとコルドバのマヌエル・レジェスに会いにいざアンダルシアへ。グラナダもコルドバも前回ロマニリョスの講習の際に訪れているので、4年前の記憶が甦り感激もひとしおである。特にアントニオ・マリンはグラナダに行った際に一度工房を訪ねている。尾野氏から預かっているマリンへのお土産を携えて、飛行機でグラナダに向かう。少し不安になってしまいそうな小型の飛行機で1時間ほどのフライトを楽しんだ。グラナダへ近づくと雲も晴れてきて、雲の切れ目から白い壁とオレンジの屋根、そしてオリーブ畑が見える。こういった風景が見えるアンダルシア地方は、華やかな都会であるマドリッドよりも、はるかにスペインらしく感じられる。そんな風景を見ながら、尾野氏から聞くマリンの話、自分が対面した時の記憶を思い出した。そして、これからはじまるアンダルシアの製作家たちとの出会いを想像し、だんだん緊張してきたが、瞼に焼き付いているマリンの優しい眼差しが幾分緊張を和らげてくれた。

 無事着陸してグラナダに降り立つ。乾いた大地と白っぽくも深い緑の糸杉(シープレス)が、改めて今、自分がスペインにいることを教えてくれた。グラナダ市内を往復するシャトルバスの、時刻表も看板もない停車場を確認して、お土産を買いながらしばらく待つ。余程待たされるかと思ったが案外早くバスは現れた。運転手に言われるままバスに乗り込み、肘掛けの使い方もわからないまま、グラナダ市内へ。スペインでも南に位置するグラナダは10月末だというのに陽射しが強く、バスはクーラーがかかっている。広場の脇でバスを降り、近くのホテルに宿を取る。荷物を降ろし、近くのバルで腹ごしらえをして、早速マリンの工房へ向かった。


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