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マヌエル・ラミレス  Manuel Ramirez (1864~1916)

 

ギター製作界においてトーレスに続く最も重要な人物は、マドリッドのマヌエル・ラミレスである。トーレスが活躍していた当時、マドリッドではフランシスコ・ゴンザレスのギターが高い評価を得ていたが、その高弟にホセ・ラミレスⅠ世がいた。そして彼の下からは息子のラミレスⅡ世を初め、パリで工房を開いたフリアン・ゴメス・ラミレス、コルドバのラファエル・カサーナ等の有能な弟子が育っていった。

そのなかでも傑出した才能を持っていたのがラミレスⅠ世の実弟マヌエル・ラミレスで、彼は旧来のマドリッド派の製作スタイルを頑なに守っていた兄と異なり、トーレスの優秀さを認め、その工法やスタイルを研究して、ボディを少し大型化した独自のスタイルを確立していった。

こうしたトーレスを超えようと努力した成果は、やがて1897年アルラバン通りの彼の工房に”王立音楽院の弦楽器製作者”の称号の掲示許可と言う、ギター製作家の最高の名誉を与えられることに結実。その門下から、やがてバルセロナに移り名を成したエンリケ・ガルシアや後継者として位置付けられるサントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、モデスト・ボレゲーロ等の有能な製作家を輩出して行った。マヌエルの店を訪れた若き日のセゴビアの瑞々しい感性とその演奏に感動した彼が、サントス・エルナンデスの製作したギターを与えたという話は有名である。そしてこのギターがセゴビアを一流の演奏家に押し上げて行く大きな力となったのである。その後マヌエルの弟子サントスとドミンゴは、この栄誉あるマドリッド派の名声をさらに高め、永いスペインのギター製作の歴史をさらに栄光あるものに発展させてゆくことになる。

 

歴史的名工たち


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