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糸巻きのメンテナンスと交換
糸巻きの不具合

糸巻きが廻し難い原因は様々ですが、主な原因として次の様なケースが考えられます。

元々の穴開け加工が適切でない場合、湿度の変化で木部が膨張してパイプ部分に接触して固くなる。
また、メンテナスのためにミシンオイルの様な粘度の低いオイルを過剰に吹き付けると同様に木部に染み込み膨張するので注意が必要です。

経年変化によるシャフトと軸受け、ギア部分の摩耗で回転がスムーズにいかない。
この場合は、症状が軽度の場合はねばりのあるグリスをつけることで改善が期待できます。
この時、過剰につけると埃等で汚れやすくなり逆効果になってしまう場合があります。
高性能グリスフッ素樹脂配合配合のグリスの使用をお勧めします。

ヘッドをどこかにぶつけたため糸巻きが変形して、うまく回らない。
外的な力による変形の場合は部分的な修理が困難なことが多いので、交換を検討したほうが良いでしょう。

交換時に必要なチェック項目

軸間とローラーのサイズ
 現在販売されている糸巻きのギアは軸と軸の間隔が35mmの物がほとんどです。またローラーの径は約10mm、長さが28mm前後に設定されています。

流通しているギターはほぼこの規格の糸巻きを使用していますので、基本的にはどの糸巻きにも交換が可能と考えて問題ありません。
その中で軸間39㎜のものは現在 後藤 40G2000シリーズが唯一適応可能なマシーンです。また狭いものは各弦が独立した仕様の 単式糸巻きに交換して使う方法が一般的です。但し、ヴィンテージ楽器や特殊なデザインの手工品には軸間が32mm程度と狭かったり、36mm、39mmのものがありますので、注意が必要です。

その他の仕様
最近は回転をスムーズにしてチューニングを容易に的確に出来る様、ローラーの先端にベアリングを搭載したものが増えてきました。
軸受け部分はローラーの径約10mmに合わせて開けられているので通常はそのまま交換可能ですが、問題が無いか事前に専門店に相談した方が良いでしょう。更にローラーの長さの規格が異なることがあります。同一メーカーで同一の品番でもそのようなことがあります。また、ヴィンテージ楽器等まれにヘッドの付け根部分の幅が狭く、1弦と6弦のパイプが接触してしまう場合がありますので注意が必要です。
更に全体の長さは装飾として先端にリラの装飾が施されていてその分長くなっているものがありますので、交換後はみ出してしまわないかの確認を行い、そうした問題が無ければ交換は自分で行うことができます。
但し、固定するビスの数・穴のサイズ・間隔は統一されていない場合が多いので、現状のビス穴を塞ぎ、ビス穴を作り直す作業をすることが必要となります。

交換作業

交換に必要な道具

ギヤに付属の木ネジに合ったドライバー / 下穴をあける錐(又はピンバイス)/ ボンド / 爪楊枝 / ニッパー /ノミ(又はカッターナイフ)/ キリ /

糸巻きの取り外しと装着

 
ドライバーで木ネジをはずし、糸巻きを外します。サイズの確認の為に新しい糸巻きを装着してみます。つまみを回してギア、パイプの動きに無理がないか、スムーズに動くことを確認しておきます。更にビス穴の位置のずれを確認して木ネジの位置があっていれば、そのままネジで止め出来ますが、そうでない場合は以前の穴を埋め、新規に穴を開ける必要があります。

 

ネジ穴の処理

 

爪楊枝の先端をネジ穴の大きさに合う所で切り、ネジ穴に爪楊枝を差し込み合わせます。その後一旦爪楊枝を外しネジ穴に少しボンドを入れ、再度爪楊枝を長い状態で差し込んで接着します。
そしてボンドが乾いたら爪楊枝の余分な部分を切り取り、ノミやカッターナイフで、爪楊枝のはみ出ている部分を削り、平らにします。

 

木ネジの取付け

新しい糸巻を木ネジで取り付けるときは、必ず錐、ピンバイス、ドリル(1mm程度)等で下穴を開けます。
その際、ネジよりも大きくなったり、突き抜けてしまったりしないように注意が必要です。
深さは、木ネジの長さの7分程度で充分です。
木ネジは全部の木ネジを緩め締めて糸巻きを取り付け、パイプの回り具合を確かめてから完全に締め付けて固定します。

 

糸巻き交換 参考動画

交換の方法はギタリスト益田正洋氏が動画にてアップしていますのでコチラもご参照ください。

 


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