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ダニエル・フレドリッシュ Daniel Friederich (1932~)

 

家具職人の4代目としてパリで生まれた彼は、仕事を継ぐことよりむしろ音楽に心惹かれていたが、経済的に苦しい環境であったため、最初に購入した楽器は安物のスチール弦ギターであった。その後、彼はクリスティアン・オーバンに師事し演奏を学ぶにあたり、自ら1955年に最初のクラシックギターを製作することとなるが、それはフランシスコ・シンプリシオの単純なコピーであった。オーバンは楽器製作もしたため、彼の助言が大きな力となりその後もダニエルは製作を継続し、1959年には完成した15本目の楽器をロベール・ブーシェに見せる機会を得て、この巨匠から激励を受けることになる。

それは彼をして製作家としての道を歩むことを決意する動機となり、パリに工房を開いた彼は、ギタリストのアレクサンドル・ラゴヤからも助言を得る等貴重な経験を積み重ねて行った。その後1967年にベルギーのギター製作コンクールの技術部門で金賞を受賞し、審査員のイグナシオ・フレタたちからの称賛を受けた彼は、ブーシェから伝統工法とフランスのエスプリを引き継いだ製作家としてゆるぎない評価を確かなものとしてゆくことになる。

彼は音響学の研究にも力を入れ、古楽演奏のためにミーントーンのフレッチングの楽器製作や、現代的音響を得るためカーボンファイバーの表板を試みる等、あるべき音を探求する姿勢は変わることなく、その成果は奏者の思いに小気味よくレスポンスして、伝統に則る深みある音が紡ぎだされる楽器として結実。ロベルト・アウセルを始め多くのコンクール入賞者や著名ギタリストが愛用する楽器を製作する名工としてゆるぎない地位を確立している。

 

歴史的名工たち


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