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ギター文化を創った巨匠たち~歴史的名工の肖像~

詳しいプロフィールは上の画像をクリックして受け継がれていく伝統のページをご覧ください。

アントニオ・デ・トーレス   Antonio de Torres  (1817~1892)
アントニオ・デ・トーレスは、古く長い伝統を持つスパニッシュギターの製作法を研究、豊かな音量と多彩な音色を生み出す大型のボディと構造を創始し、コンサート・ギターを確立して現代ギターの礎を築いた、ギター製作界のストラディヴァリと称される巨匠。

マヌエル・ラミレス  Manuel Ramirez (1864~1916)
マヌエル・ラミレスはトーレスに続く最も重要な人物である。彼はトーレスの優秀さを認め、その工法やスタイルを研究して、ボディを少し大型化した独自のスタイルを確立していった。またその門下からサントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、モデスト・ボレゲーロ等の有能な製作家を輩出している。

サントス・エルナンデス  Santos Hernandez (1873~1943)
サントス・エルナンデスはマヌエル・ラミレスの高弟の一人。セゴビアがマドリッドでデビューした時に使用した楽器を製作。彼の工房には、デ・ラ・マーサ、ラモン・モントヤ、ニーニョ・リカルド、サビーカスら多くのギタリストやギター愛好家が集まり、お互いの議論も闘わせながらギター文化の中心を形成していった。

ドミンゴ・エステソ  Domingo Esteso (1882~1937)
ドミンゴ・エステソは若くしてマヌエル・ラミレス工房に見習いとして入り、サントス・エルナンデスと並び称される高い評価を得る様になるが独立はせず、師が亡くなるまで工房に留まり働き続けた。製作したギターの多くはフラメンコ仕様の楽器が多かったが、独立した時に既に高い名声を得ていた彼は、数多くの銘器を生み出した。

ヘルマン・ハウザーⅠ世  Hermann Hauser I (1882~1952)
ドイツのミュンヘンで父の工房で仕事を始め独立後に、ウインナー・モデルやリュートをも手掛けていたが、タレガの高弟リョべ-トの愛器トーレスや、セゴビアのマヌエル・ラミレスの楽器と出会い、助言を受けながら深く研究。トーレスがギターの型を確立して以後の、スペイン人以外で最初の名工になった。

マルセロ・バルベロⅠ世 Marcelo Barbero I (1904~1956)
幼い頃からラミレスⅠ世の工房に見習いとして入り、やがてラミレスⅡ世の職工として活躍。その後、サントス・エルナンデスの没後未亡人から、作りかけた材料を用いて製作する依頼を受け、その楽器のすばらしさに共感していたマルセロは、情熱を持って立派な作品を未亡人ラベルで作成。独立後もサントスの後継者として名器を世に送り出した。

ロベール・ブーシェ  Robert Bouchet (1898~1986)
パリで生まれた彼は幼少より絵画と音楽に親しみ、美術教員資格をとり画家としてのスタート。そしてモンマルトルに移住し、近くに工房を構えるフリアン・ゴメス・ラミレスと知遇を得てギターを製作。第2次世界大戦後トーレスをベースに独自の構造を考案した彼の楽器は、一流の演奏家たち愛される銘器として知られる様になった。

アルカンヘル・フェルナンデス  Arcangel Fernandez (1931~)
マドリッド生まれた彼は少年期から家具職人として働き、趣味でギターを弾き始めた。やがてフラメンコ奏者としても仕事を手掛け、その後マルセロ・バルベロ工房に入る。2年後にマルセロが急逝し未亡人ラベルで製作を継承、独立後はマルセロの子息(バルベロ・イーホ)を迎えサントスから続く伝統を継ぐ唯一の正統として大きな足跡を残した。

マヌエル・レジェス Manuel Reyes (1934~2014)
コルドバと言うフラメンコが盛んな地で育ったマヌエルはギターの演奏に強く惹かれると共に、その家庭環境から製作にも興味を持ち、ホアキン・サンチェス・ガリステーロから製作の助言を得、やがて独立しコルドバに自身の工房を開く。その後わずかな期間ではあったが、マルセロ・バルベロに学び、文通は彼の逝去まで続いた。

ホセ・ルイス・ロマニリョス Jose Luis Romanillos (1932~)
マドリッドで生まれ、彼の住んでいたラバピエス地区には多くのギタリストや製作家たちが住み、ギターの音色に魅せられていたが、やがて仕事の関係でイギリスに移住。その地で名手ジュリアン・ブリームとの知遇を得、即座にその才能を見抜いた彼は自宅敷地内にある工房を彼に提供。揺るぎない名工としての評価を得ていった。

アントニオ・マリン Antonio Marin (1933~)
グラナダで幼い頃から寄木細工の工房で働き始め、その後エドゥアルド・フェレールの工房で製作を数年間学んだ後独立し工房を持つ。やがてフランスへ赴き、名工ロベール・ブーシェからトーレスの精神と技法を学んだ後、それを機に工房を移し彼の後継者として、スペインのグラナダ製作界の代表として、現在も製作と指導に励んでいる。

ダニエル・フレドリッシュ Daniel Friederich (1932~)
パリで生まれた彼は、家具職人の仕事を継ぐことより音楽に心惹かれて彼はクリスティアン・オーバンに師事し演奏の傍ら製作について学ぶ。やがてロベール・ブーシェが彼の楽器を見て激励した事が契機となり、パリに工房を開設し、ベルギーのコンクールで金賞を受賞。フランスに根付いた伝統工法を引き継ぐ製作家としての評価を確かなものとした。

 

>>スペイン伝統工法で製作された楽器の音色を楽しむ


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