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ロベール・ブーシェ  Robert Bouchet (1898~1986)

フランスのパリで洋装店を営む家に育ったロベール・ブーシェは、幼少より絵画と音楽に親しみ、1919年に美術教員資格をとり画家としてのスタートを切った。そして1932年にモンマルトルの丘にある住居に移住した彼は趣味でギター演奏を始め、近くに工房を構えるスペインから亡命してきたフリアン・ゴメス・ラミレスと知遇を得ることになる。やがて第2次世界大戦後の1946年、フリアン作の愛器を失った彼は、以前に製作の全工程をつぶさに観察した経験を活かし、自分で製作に必要な工具や治具を作ることから始めて、自身のギターを作ることを思い立つ。そして完成した最初のギターは既に銘器の片鱗を伺わせ、糸巻の彫刻からすべて自身の細工になる丹精こめて作られた彼の楽器は評判となり、プレスティ、ラゴヤ、プジョール、ギリア、ブリームら一流の演奏家たちからも次々注文が入るようになっていった。1956年からは、それまでのトーレス・システムから独自の構造を考案し、表板をよりよく振動させることに成功、年間3、4本ペースで製作され、亡くなるまでに作ったギターの総数は154本である。寛大で思慮深い人柄を偲ばせるエピソードも数多く、フレタI世と旅行を楽しんだり、ロマニリョス夫妻と一時を過ごしたり、グラナダのマリンを訪れたりと製作家たちとも深い交友で結ばれていた。

ブーシェ夫妻は子供こそ恵まれなかったが、彼の純粋な魂と精神はグラナダのマリン、パリのマゼーやフレドリッシュらの弟子たちに受け継がれている。

 

歴史的名工たち


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