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サントス・エルナンデス  Santos Hernandez (1873~1943)

マドリッドで生まれた彼は幼少の頃、装飾品製作の仕事に就いたがそれに飽き足らず、バレンティン・ビウデス工房に入りギター製作を学び始めた。その後グラナダでホセ・オルテガの下で一時修業して、再びマドリッドに戻りフランシスコ・ゴンサレスの息子の工房で製作を続けたが、1893年からは兵役につきキューバに赴いたため製作は中断。ようやく1898年に独立し自身の工房を開くが、32歳の頃マヌエル・ラミレスに強く請われ彼の工房に入ることを決意し、そこで彼が亡くなる1916年まで製作を続けた。そしてその翌年にマドリッドのアドゥアナ通り27番地に自身の工房を開設した彼の下には、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ、ラモン・モントヤ、ニーニョ・リカルド、サビーカスら多くのギタリストやギター愛好家が集まり、お互いの議論も闘わせながらギター文化の中心を形成していった。

サントスは秘密主義だったと伝えられているが、実はこのような状態では仕事も思うに任せず、閉店してから一人で製作をせざるを得なかったのである。

夫人も彼の仕事を手伝い、亡くなるまで銘器の数々を生み出し続けたが、夫妻は子供に恵まれず、弟子も持たなかった為、後継者には夫人が選んだマルセロ・バルベロがなった。また工房はサントスの甥に2代に渡り引き継がれたが、現在はシグエンサの博物館に使っていた作業台や工具などが持ち込まれ忠実に再現されている。彼のギターの特徴は、深遠で重量感に富む低音、充実した中音、美しく澄み切った高音、そして比類のない和音の美しさを備え、まさに最高峰をゆく銘器であった。

 

歴史的名工たち


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