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髙木真介の新スペイン便り
10.名工 ロマニリョス・インタビュー(2011.2.12)

 皆様いかがお過ごしですか? 今回のスペイン便りは、クラシック・ギター専門誌「現代ギター」のために行ったロマニリョス氏へのインタビューに関してお伝えいたします。前回の「新スペイン便り、その9」では、シグエンサにロマニリョス氏が設立した「ギター博物館」に関して詳しくお伝えしましたが、そのレポートに「現代ギター」誌が興味を持ってくれました。そこで、ロマニリョス氏に「ギター博物館」を中心にお話を伺おうということで、インタビューをすることになりました。このインタビューは、昨年(2010年)12月上旬にロマニリョス氏のご自宅で行われました。その日は強風に雨という酷い天候でしたが、ロマニリョス氏と奥様のマリアンさんに温かく迎えていただき、たっぷりお話をしていただきました。録音のために古いMDレコーダを持っていきましたが、80分のMDが途中で一杯になってしまうほどたくさん話してくれました。質問からも脱線してたくさん話してくれたのはうれしかったのですが、後で記事としてまとめるのは結構大変でした。

 「ギター博物館」設立までの経緯や、奥様との共著でギター製作史の集大成 “THE VIHUELA DE MANO AND THE SPANISH GUITAR” の動機から出版までのお話では、氏のギターという楽器に対する深い愛と情熱を強く感じました。また頻繁に行っているギター製作講習会のお話では、伝統を重んじ、それを継承するために強い使命感に燃え、持っている知識や技術を惜しげもなく後進の製作家たちに伝えている様子が伝わってきます。

このインタビュー時のちょっと面白いエピソードがあります。「現代ギター」という日本のギター専門誌のためのインタビューということで、私の手元にあった2010年11月号をサンプルとして持っていきました。インタビュー終了後お見せしたところ、「日本語が読めないのが残念だなー」と言いながら大変興味深そうにページを繰って眺めていました。そこへたまたまスペイン出張中だったアウラ社長本山氏が、ロマニリョス宅に表敬訪問で現れました。「あれ、その表紙のギターリスト(益田正洋さん)の持っている楽器は、ロマニリョスではないかな?」という本山氏の言葉に、ロマニリョス氏も奥様もその目は表誌のグラビアにくぎ付けになりました。「本当だ、ロマニリョス・ギターだね!」、ロマニリョス氏は大喜び。すると奥様が「何年ごろの作品かしら?」という言葉をかけると、「そうだな。これは…、う~ん?」 あーでもない、こーでもないと二人でうれしそうに話し合いながら、この写真のギターに夢中になっていました。英国紳士を思わせるおっとりした性格のロマニリョス氏が、まるで子供のように無邪気に喜ぶ姿に、自分の作った楽器に対する愛着をひしひしと感じました。

このインタビュー記事(全6ページ、写真入り)は、「現代ギター」2011年3月号に掲載されることになっています。同誌編集部から得た許可により、以下2ページ分を特別に公開します。興味のある方は是非「現代ギター」3月号(2月23日発売!)をお買い求めのうえお読みください。

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 今回のスペイン便りは「現代ギター」の宣伝のようになってしまいましたが、どうか3月号、よろしく(笑)! それでは、またお目にかかりましょう。ごきげんよう!


2011年2月12日、マドリード、髙木真介
Masayuki Takagi


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