皆様,こんにちは。今日(9月22日)からスペインでは正式に秋になりました。夏期休暇も終わり,9月からが年度変りで,学校の始業などもあり,何となくリフレッシュされた空気が漂っています。本当は,9月のはじめに今回のスペインだよりをお届けしたかったのですが,少し遅くなってしまいました。今回は,「第16回アリカンテ国際現代音楽フェスティバル」(9月16日~23日)についてお伝えします。フェスティバルの内容は,次の通りです。
9月16日
20時・TEATRO PRINCIPAL
Der Kaiser Von Atlantis ( Victor Ullmann 作曲のオペラ)
9月17日
12時30分・CASTILLO DE SANTA BARBARA
Duo Contraste ( Avelina Vidal-ギター と Esteban Algora-アコーデオンのデュオ)
- J.M.Sanchez-Verdu, A.Casanova等の作品。
19時・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Ensemble Figura De Copenhague (クラリネット,フルート,ビオラ,コントラベース,ピアノ,打楽器,電子音楽の7人のメンバーでなるデンマークのアンサンブル)
- M.Balboa, N.Rosing-Schow等の作品。
9月18日
19時・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Tokyo Sinfonietta 野平一郎 & 板倉ヤスアキ 指揮 (戦後生まれの作品演奏および,日本やアジアの現代音楽を広く紹介することを目的に1994年に東京で設立された20人のメンバーからなる合奏団)
- 野平一郎,E.Perez Mazeda,近藤譲,J.M.Lopez の作品。
22時・TEATRO PRINCIPAL
Orquesta Sinfonica Portuguesa(ポルトガル交響楽団) Jose Ramon Encinar指揮
- T.Marco,J.Peixinho, M.Angulo, A.Chagas Rosa の作品。
9月19日
19時・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Grupo Instrumental De Bilbao(ビルバオを中心に活躍する9人のメンバーからなる合奏団。スペイン音楽,特に現代もののレパートリーの演奏している)
- J.Guinjoan, C.Halffter 等の作品
22時・TEATRO PRINCIPAL
Orquesta Sinfonica Portuguesa(ポルトガル交響楽団) Luis Aguirre指揮
- L.Freitas Branco, F.Otero, A.Schnittke, W.Lutoslawski の作品。
9月20日
22時・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Grupo Enigma / Orquesta De Camara Del Auditorio De Zaragoza(サラゴサの室内楽団)
Juan Jose Olivaes指揮
- J.L.Turina, G.Benjamin等の作品
9月21日
9時30分および11時30分・TEATRO PRINCIPAL
Espectaculo Para Ninos (子供たちのためのショー)
- Rafael Linanの”Tribus”
19時・AUDITORIO DE LA CAM
Grupo LIM(フルート,クラリネット,バイオリン,チェロ,ピアノの5人編成のグループ)
Jesusu Villa-Rojo(クラリネット)指揮
- J.Villa-Rojo, A.Bertomeu, E.Eguiguren等の作品
22時・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Grupo Enigma / Orquesta De Camara Del Auditorio De Zaragoza
Gloria Isabel Ramos指揮
- M.Luisa Ozaita, M.Dolores Malumbres等の女流作曲家の作品を中心に。
9月22日
20時・IGLESIA DE SANTA MARIA
Coral Polifonica De La Universidad De Las Palmas De Gran Canaria(グラン・カナリア島ラス・パルマス大学・合唱団) Juan Jose Falcon Sanabria指揮
- F.Mompou, R.Halffter, O.Espla, J.J.Falcon等の作品
22時・AUDITORIO DE LA CAM
Laboratorio De Informatica Y Electronica Musical ? LIEM / CDMC (コンピュータおよび電子音楽)
- T.Bruynel, C.Vazquez等の作品
9月23日
12時30分・AULA DE CULTURA DE LA CAM
Amsterdam Percussion Group(5人のパーカッショニストによるグループ)
- T.Loevendie, J.Vicentの作品
19時30分・CASTILLO DE SANTA BARBARA
“AERIA” (Xavier Maristany作曲 声とガラス楽器によるスペクタクル)
以上,現代音楽と一口で言っても,非常に多彩な内容になっています。また,このフェスティバルの中で多くの作品が初演されています。今年で16回目になるこのフェスティバル,現代音楽だけによる催し物としてはかなり規模の大きいもので,スペインのみならずヨーロッパ中から注目を浴びています。また,アリカンテは地中海沿岸の美しい町です。会場に使われる,CASTILLO DE SANTA BAEBARA(サンタ・バルバラ城)や,TEATRO PRINCIPALなどは,魅力的なものです。
前回のスペインだよりでも触れましたが,私はこのフェスティバルに出演しました。19日のポルトガル交響楽団との共演で,F.Otero作曲のハープ,ギターとオーケストラのためのダブル・コンチェルト”Viento De Madrugada”(夜明けの風)の初演でギター・ソリストをつとめました。少々そのことに関して書いてみます。本番での演奏のほうは,まあうまく行ったといえるでしょう。聴衆も大きな拍手で応えてくれました。そして,この日のコンサートは,スペイン国営放送FMラジオ局「ラジオ・クラシカ」(クラシック音楽専門局)により,生中継されました。新作,しかもフェスティバル主催者からの委嘱作品の初演,ラジオの生中継など,プレッシャーを与えてくれる要素がいくつか重なっていて,実際かなり緊張しましたが,個人的にはそれなりの演奏が出来たので,ほっとしているところです。ポルトガルのオケですので,リハーサルはリスボンまで出向きました。リハーサル当初は,オケがうまくまとまらず,指揮者もかなり苦労していました。私もどうなることやらと心配していましたが,最終的に何とかまとまって良かったです。曲中ハープとギターのデュエットになる部分がありますが,なかなか面白い響きの重なり合いがします。ギターの音はマイクとアンプで少し増幅しました。この初演が最後ではなく,またいつかどこかでこの曲の再演できる機会があれば良いなと願っています。
それでは,今回はこのへんで。「芸術の秋」を楽しんでください。お元気で。
高木真介,2000年9月21日,マドリード
Masayuki Takagi