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髙木真介のスペイン便り
5. バルセローナ・リセオ大劇場の復活 (1999.11.8)

 皆さんこんにちは,いかがお過ごしですか。マドリードでは,大分秋も深まってきて,かなり寒くなってきました。

 さて,今回は,今までとちょっと内容が異なりますが,
Barcelonaの”GRAN TEATRE DEL LICEU” (リセオ大劇場)についてお伝えします。バルセローナについては,私にとってホームタウンではありませんので,あまり情報が得られないのですが,世界的にも重要な,オペラ劇場のリセオの復活は,音楽愛好家にとって重要な出来事だと思います。バルセローナの中心街を貫くランブラス大通りに面したリセオ劇場は,1994年1月31日に,大火災に見まわれ,その建物がほとんど全壊してしまいました。当時のテレビで大火災の悲劇を伝える様子をいまだに良く覚えています。非常にショッキングな出来事でした。その火災に関して,大ソプラノのカバリェがインタビューに涙を流しながら応対していたのがとても印象的でした。その後幸い,比較的スムーズに再建工事が進められ,火災後およそ5年半経った今年1999年10月7日に,再オープンしました。

 このリセオ大劇場は,1847年にオープンしたそうですから,実に150年以上の歴史を持っているわけです。そして,1861年4月に火災で全壊しました。なんと過去に一度同じ目にあっているのですね。この時は,復興するまで,非常に時間がかかり,1909年に,やっとオープンされました。その劇場が,修復や改築などの手ほどきを受けながら,1994年に焼失されるまで,バルセローナのオペラの殿堂として,市民に慕われていました。プラシード・ドミンゴ,ホセ・カレーラス,モンセラート・カバリェ,テレサ・ベルガンサなど,世界中に名を轟かせる歌手を輩出しているスペインは,オペラに関心を持っている人が多いです。

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(工事中のリセオ大劇場の空からの写真)

 再建に際しては,運営本部が設けられ,綿密な計画のもとに進められたことはいうまでもありません。最新のハイテクを駆使し,いわばインテリジェント劇場として,待ち焦がれていたバルセローナ市民の前に姿をあらわしたのです。最近,スペインのテレビで,このリセオの復活に関するルポルタージュ番組がありましたが,以前の内装にできるだけ忠実になるように,沢山の職人さんが一所懸命手作りしている様子は,感動的でした。椅子ひとつとっても,座り心地はもちろん,火をつけても燃えずにすぐ消えてしまう生地を使うなど,本当に細かいところまで神経の行き届いた仕事ぶりでした。また,車椅子での入場も容易にできるように作られています。

 建物の外はもちろん,素晴らしい内装は,訪れる人をゴージャスでリッチな気分にさせてくれるでしょう。そして,ただ単に見た目だけでなく,いろいろな細かい配慮があるので,本当に心行くまでオペラを堪能できるでしょう。もし,バルセローナを訪れる機会があったら,日中ガウディや、ピカソ美術館などを鑑賞した後,夜はぜひリセオ大劇場でオペラ観劇をされることをおすすめします(オペラ以外,コンサート,バレエなどをやっている日もあります)。私自身オペラのファンであるわけではありませんが,ぜひ一度行ってみたいと思っている今日この頃です。プログラムなどは,リセオのホーム・ペイジですぐわかりますし,チケットの予約もできるので,旅行の予定が立ったら,早速アクセスすると良いでしょう。このホーム・ペイジは,スペイン語,カタルーニャ語,そして英語の三つの言語の中から選択できます。とても良くできているホーム・ペイジなので,ただ眺めに行くだけでも楽しいでしょう。特に,劇場のの建物の内部や外部を表すグラフィック(3Dで見ることもできる)は,興味深いです。

→リセオ大劇場のホーム・ペイジ :www.liceubarcelona.com/esp/home.htm

 といううわけで,今回はこれでおしまいです。皆さんが健康で,充実した毎日を送られることを祈っています。

高木真介,1999年11月6日,マドリード


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